有線のIPネットワーク通信がどこから盗聴されるのか解説してみました

本稿では、有線のIPネットワーク通信がどこから盗聴されてしまう可能性があるのかを解説します。自分の環境ではどこが弱点か理解した上で対策を考えれるようになっていただければ幸いです。

はじめに

盗聴という言葉に関して、家庭のコンセントタップにつけられた盗聴機による会話の盗聴や、不正なWifiアクセスポイントへ接続したスマートフォンの盗聴について見聞きしたことがある方は多いのではないでしょうか?これと比べると、有線のIPネットワークからの盗聴については、どこからどうやって盗聴されるかご存知の方は少なく、対策をしていないか、対策していても「本当にこれって効果あるのかなぁ」と不安を持っている方も多いのではないでしょうか?仕組みを知らないために、バランスの悪い対策をしてしまっている場面も多いようです。

なぜ記事を投稿したか

有線ネットワークの盗聴のリスクを解説した文章は沢山ありますが、ネットワークとセキュリティに関する知識がない方には理解が難しい解説が多いように感じています。また、実際にセキュリティ対策を検討する人が知りたいと思う情報である、物理的な対策から通信プロトコルを考慮したネットワーク機器での対策まで広い範囲での解説が少ないように感じていました。筆者は、長年制御システム業界に携わって来ましたが、せっかく対策をしていても担当者が理解できぬまま偏った対策を適用している場面も見てきました。

システムの開発に携わる多くの方たちに、「音声の盗聴は、コンセントタップに仕掛けられた盗聴機から電波を通じて盗聴されてしまう」ぐらい広く知られたレベルで、有線ネットワークの盗聴について理解していただきたいと思った次第です。本稿が、自分たちの環境が危険か危険でないか、対策が適切か適切でないかを判断する力をつける一助となれば幸いです。

対象者

有線のIPネットワーク通信がどこから盗聴される可能性があるのか知らない人
対策をしているが、どれほどの効果があるのか不安な人

できるようになること

盗聴手法の概要を理解した上での対策の選定

できるようにならないこと

実際の盗聴
暗号化した通信の盗聴のしくみの理解

有線ネットワークを構成する要素

ここで扱うネットワークは、パソコン(サーバなどログインして操作する機器全般を含む)とスイッチングハブの構成されたネットワーク
で説明します。

パソコン ーーLANケーブルーースイッチングハブーーLANケーブルーー パソコン

どこから盗聴されるのか?

構成する要素は、パソコン、LANケーブル、スイッチングハブがありますが、どこから盗聴されるのでしょうか? 結論としてはどこからでも盗聴される可能性があります。何も対策がされていなければ、これから説明するいずれの方法を使っても数分から数十分で盗聴されてしまいます。

スイッチングハブからの盗聴

よく解説されることが多いのが、このスイッチングハブからの盗聴です。スイッチングハブの空きポートに、LANケーブルと盗聴用のパソコンを接続して盗聴する方法です。

スイッチングハブとLANケーブルの間からの盗聴

この方法は、あたり前すぎるために解説されることは少ないようです。スイッチングハブに刺さっているLANケーブルを外し、スイッチングハブとLANケーブルの間に、盗聴に用いるスイッチングハブ、LANケーブル、パソコン接続して盗聴する方法です。

LANケーブルからの盗聴

LANケーブルを自作したことがある方には当たり前と感じると思いますが、この方法を知らない方もいるようです。
LANケーブルを自作するキットは数千円で売られており、LANケーブルを切断して、間にスイッチングハブを接続することは、慣れた方なら数分でできてしまいます。

パソコンからの盗聴

パソコンに不正にログインされてしまうと、そこから通信を盗聴されてしまうことは理解できると思います。

どこから盗聴されるのか?


・スイッチ

・ケーブル

 LANケーブル

 光ケーブル

・装置

 サーバ、PC、PLC etc